シャーフ(ドイツ)

あんなこと、こんなこと、ドイツ便り

第17話(2012年2月執筆)【親ひつじ、子ひつじ(シャーフ社訪問)】

from 谷本バルタイト美枝子

まず最初に、おもちゃのデザインから製造、販売をされるようになったきっかけについてお聞かせください。

私はベルリンの工科大学の出身で、エンジニアとしての資格を得た後、研究職に就いて、一時教鞭をとりました。後に企業に就職し、技師として現場を巡るという経験も積みました。そんな中で、自分の職業人としての生活を全うしていくことと、父親としてありたい姿との間に、埋められないギャップがあることに悩み始めました。子どもたちの成長を見守り、日々の育ちに積極的に関わっていく機会が少なすぎたのです。そんな折、かつて祖父母の住いだった農家を叔父夫婦が手放そうとしていることを知りました。そこでこの家と納屋を買いとり、一部を陶芸家であった当事の妻のアトリエとし、一部を私の工房にしました。こうして《もの作りへの捨てがたい夢》と《働く場と暮らしの場を一箇所において、できるだけ家族と共に過ごしたいという願い》を実現したのです。
(写真)住居兼社屋外観

それはいつ頃のことだったのでしょう?

ここに越してきたのが83年、ニュルンベルクの見本市に初めて出展したのは翌年の84年です。

製品としておもちゃを選んだのはなぜですか?

家具や玩具など、もともと私たちの身の回りには自分の手作りのものがたくさんありました。だけど自分は家具職人としての技術を持っているわけではありませんから、自信をもって製作できるものとして《おもちゃ》を選んだのです。

デザインや製作上で特に気を遣っていらっしゃるのはどんなことですか?

私がお届けしたいのは、赤ちゃんの五感に語りかけながらも、余計な刺激を与えず、だからこそ子どもの感覚が熟していく過程を共にできるおもちゃです。
赤ちゃんが安心して時間をかけ、じっくりと接していけるおもちゃです。この世に生を受けて間もない子どもたちは、そもそも好奇心が強く、身の回りの世界を知っていくためにあらゆる感覚を駆使しているはず。そんな赤ちゃんに、この生活環境に慣れきった私たち大人の耳目をひくほどの刺激を与えることはふさわしくありません。
けばけばしい色、調和を欠いた形、不必要なまでに大きな音や不自然な音は、赤ちゃんの周りから極力遠ざけるべきだと考えています。この信念から、デザインも色使いもできるだけ簡素で調和の取れたおもちゃ、子どもが自分の手で、自分の能力でものを理解していこうとする気持ちを高められるおもちゃを作ってきました。

(上写真)太古の火山活動で生じた湖

シャーフさんのラトルは、とても丁寧に仕上げられた品質の高さと、仰るように簡素で調和的なデザインの完成度が特徴ですね。そして、形や重さに握りやすさへの工夫がされていて、かなり初期から使えるものが多いと思われます。今日は作り手であるシャーフさんご自身から、ラトルを月齢順に並べてご紹介いただきたいのですが…。

3ヶ月くらいの最も初期から使えるのはチュチュ(SC786)、リング(SC971)、コロリング(SC962)です。
重さはこの順で14g、16g、30g。これらに比べて指を通せる穴が小さいクラップモビル(SC985)は35gと少し重く、4ヶ月頃からがお勧めです。ビーズが車輪になって床を走らせることができるので、腹ばいで遊んだりハイハイの時期を越え《くるま》として意識した遊びにも使えます。
その点でロベロ(SC806)のように36ヶ月くらいまで十分遊べます。鈴の入ったボンティ(SC964)、フロイア(SC966)はそれぞれ40g、45g、フロイアは大きなリングで握りやすそうに見えますが、片方に重さが集中しています。
いずれも6ヶ月頃からがお勧めです。

      

※商品左より※
SC786:チュチュ、SC971:リング、SC962:コロリング、SC985:クラップモビル、SC806:ロベロ、SC964:ボンティ、SC966:フロイア

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