シャーフ(ドイツ)

あんなこと、こんなこと、ドイツ便り

第17話(2012年2月執筆)【親ひつじ、子ひつじ(シャーフ社訪問)】

from 谷本バルタイト美枝子

「インスピレーションの源はどこに?」という問いに、しばらく答えを探すお父さん。「むしろ、インスピレーションにならないものを探したほうが手っ取り早そうだね。」と、笑顔で助け船を出したのは息子さん。応じてお父さんいわく…、「そうかも知れません。とにかく私は好奇心が強くて、どこにいても、何を見ていても、新しい印象を自分の中に取り込もうとするエネルギーをフル回転させているんです。この力をオフにしてリラックスしているとき、あらゆる場面で集めてきたさまざまな印象が、自分の内部に深く沈んでいくのを感じます。そんな諸々の材料が、何かのきっかけや必然性に迫られて浮き上がってきたり、別の刺激に呼び出されるようにして思わぬ組合せが生じたりして、私の《ものを作ろう》という動機になっていくのだと思います。」
※(写真)トリアの街の円形劇場跡
※黒字:筆者(谷本)、青字:ゲアト・シャーフさん、緑字:トビアス・シャーフさん

話題の主はシャーフさん。
実は彼のお名前Schaafからaの文字を1つとったSchafは、同じ発音で《羊》という意味の別の単語。羊毛製品でもないのになぜロゴが羊?と思っていらした方もあるかも知れません。
謎が1つ解けましたね?
私にとっても謎解きのような発見が一つ。それは工房の一室に集められた彼の《宝物たち》です。大人の腕の長さほど、幅もその半分を増すほどの大きな樹皮の一片、三脚状になった木の枝たち、木の株や根、古い農機具の一部とおぼしき錆びた金属片に古い鉄車輪などなど…。いつかシャーフさんの手によってアートに姿を変える日を待っているのでしょうか?
おびただしい数の、中には何も手を加えずともオブジェとして完成しているような自然と偶然のなせる技もあり、まとめて無造作に置かれながらも、それぞれが自分の声を放っている見事なコレクションです。

加えて印象深かったのは、ご自慢の狩の獲物を紹介してくれたシャーフさんの目の輝き。「ほら、この幹の剥き取られた部分はまるで風景のようになっているでしょう?」「これはなんの変哲もない一本の枝だけど、表面が爬虫類の皮膚みたいだ。不思議だね。」「この幹の形はさながらヒトの胴体そのもの。」って…。そんなシャーフさんの表情を見ていると、私たちの身の回りは宝の山なのに、何も見つけられずにいる自分はなんて目が曇っているんだろう?と思わずにはおられません。その澄んだ瞳と冴えた感受性で、私たちがその他もろもろの中に見過ごしてしまうシャープな印象を拾い出し、《生む》力に変えている…、シャーフさんはそんな作り手として私の目に映りました。
それでは以下に、ヴィットリッヒの工房兼お住まいに訪ねた、お父さんひつじ(ゲアトさん)と息子ひつじ(トビアスさん)のインタビューをご紹介しましょう。

(写真)宝物を披露してくれたゲアト・シャーフさん

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