あんなこと、こんなこと、ドイツ便り

第5話(2010年8月執筆)【根掘り葉掘り訊く-私が嘘つきになった理由-】

from 谷本バルタイト美枝子

根掘り葉掘り訊く人が多い。初対面なのに。むしろ初対面だから、根掘り葉掘り訊くのかもしれないドイツに来て間もないころ、これに閉口した。同じ寮の誰かの誕生日パーティー、特にこれが苦手だった。実は行きたくない。知らない人がいっぱいいるから。それに、言葉に自信がないから。でもそんなことを言ってたんじゃあ友達もできないし会話も上達しない。自分にそう言い聞かせて、あえて行くことにする。「来てくれてありがとう。ゆっくり楽しんでってね。ビュッフェの飲み物や食べ物は自由にね。」招待してくれた知人に誕生日のお祝いを言うと、こんな風に迎えられる。そしてその後はほったらかし。こんなとき日本なら、せめて周りにいる友人に紹介してもらえる。興味や出身地、ライフスタイルの似た者同士を「この子がM。ホラ、この間話さなかったっけ?あなたといっしょで~ファンよ。」などとほんの少し糊付けし、自分の友達同士が親しくなるきっかけを用意してくれるものだ。そんな配慮は期待できない。  

学生同士のパーティーでは、特に親しい友人でなければプレゼントまで用意するには及ばない。むしろ、ビュッフェに一品持参するのが喜ばれた。そこで、招待主と招待客が持ち寄ったポテトサラダ、マカロニサラダ、ハムやチーズ類、ケーキなどが並ぶ。ポテトチップス、ブレーツェル、グミももちろん定番だ。こんなとき日本人学生は、巻き寿司やおいなりさん、餃子などを作って頑張る。飲み物は、ソフトドリンクとワインは紙コップだが、ビールは0,5リットル瓶を男女問わずラッパ飲み。あちこちで三々五々グループになって、皆が話し込んでいる。この三々五々の組合わせが入れ替わってはいくものの、パーティー風景は一晩を通じて特に変化がない。そのうち誰かが話しかけてくる。お互いに名前を言い合い握手をすると、いきなり質問を浴びせられる。第一問は必ずといっていいほど「…で、何してるの?」つまり、「~の勉強をしている。~の仕事に就いている。」などの返答が期待されていて、これをクリアするとどんどん突っ込まれる「動機は?」「どういう職業的展望があるの?」「出身は?」等々。これは私が外国人であるからではなく、ドイツ人学生同士もおおむねこんな感じで初対面の会話をスタートする。

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