ベリ(ドイツ)

あんなこと、こんなこと、ドイツ便り

第15話(2011年11月執筆)【ベリさんのお家で(ベリ・デザイン社訪問)】

from 谷本バルタイト美枝子

ハンブルグの中央駅から車で半時間弱、人口約8000人のトリッタウ(Trittau)という町にベリさん(Bernd Liebert=ベルント・リーベルト氏)を訪ねたのは8月半ばのことでした。

白樺の木々や赤レンガの家並みが車窓に目立ち、北へと旅してきたことが実感されます。あいにくもう何日も雨が続いていて、日中の気温も15度程度と肌寒く、よりにもよってちっとも夏らしくない日を訪問に選んでしまいました。だけど、なにもかもを灰色に包んでしまう都会の雨とは違い、どの窓からも赤レンガとお庭の緑が見えるベリさんのお家では、雨もまた好し。大小のマグネットレリーフを始め、ふんだんに飾られたベリアートの虹色が、お日様の暖かさをお部屋に溢れさせているせいかもしれません。


リビングダイニングとショールームを兼ねたお部屋での朝食のあと、ベリさんにお話を伺いました。ひっきりなしに、ペットのオウム『オットー』と『ヤニー』の声が聞こえます。「水浴びできるぞぉ!」なんて言ってみたり、モーツァルトのオペラ『魔笛』から、パパゲーノのアリアの一部をさえずったり…、正直言ってうるさい連中です。水浴び云々は多分、雨の降るたびに飼い主から聞かされる言葉を条件反射で言っているのでしょう。アリアの方はというと、メロディーは正確なのですが、小節の最後までさえずりきれずにいつも尻切れトンボ。この長さがオウムの記憶力の限界なのかな?と思ってみたり、ピューっとメロディーが上がったところで止めるのが、鳴き心地いいのかな?それとも鳥って、息継ぎできないの?…なんて、インタビューとは無関係な疑問が次々、頭に浮かびます。べりさんと過ごす時間、話がとぎれてお互い自分の考えにふけっても、なぜかちっとも気まずくないのです。そんな時ふと、ベリさんが言いました。 「子どもの頃ね、雨の日に、外で遊ぶのが大好きだったなぁ。」 「どうして?」 「他の子が遊びに来ないから、誰にも邪魔されなくてよかったんだ。」 内心『困った奴…』と、返答に悩んでいると、 「雨ん中?たった一人で外遊び?あなた、それかなり寂しいわね。」と奥さんのウルリケさん。彼女のほがらかな笑い声に一同つられて爆笑、場が救われました。 …ったく、ベリさんったら時々こんな調子だから、黙っているときのほうが、安心していられるのかもしれませんね。

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